大連市邦人向け安全の手引き

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はじめに

大連市は、戦前より我が国とは歴史的、経済的につながりが深い土地柄ですが、近年の中国の経済的発展に伴い日系企業も多数進出し、その緊密度は益々高まり、経済的、文化的な交流はもとより、人物往来も益々活発となっています。近年、当地を訪れる邦人観光客は年間約41万人にも達しており、当地公安局も外国人(特に日本人)の安全には特に注意を払って対応にあたっています。

しかしながら、急速な経済発展に伴い、中国国内では、都市部と農村部の生活格差が拡大しつつあり、農村人口の都市部への流入、
増大と相俟って、犯罪も長期的には増加傾向にあります。右傾向は、中国でも最も治安状況のよい地域に属する大連市も例外ではありませんので、日頃から安全対策に注意を払っておくことは有益と考えます。

このため、今般、当事務所では、大連市在住の皆様や今後、業務・留学等で当地に長期滞在予定の方々、更には旅行等で当地を来訪される邦人各位の安全上のご参考に、「在留法人向け安全の手引き」を作成しました。



I.防犯の基本的心構え

大連に在留ないし訪問中の邦人が大連で事件・事故に遭遇した場合、第一義的に責任をもって対応するのは中国側の関係当局であり、捜査も含め中国の主権のもとに処理されることとなります。

この場合、在外公館である当事務所としては、邦人保護の観点から出来る限りの支援を行ないますが、日本の主権が直接及ばない外国の地でありますので自ずと制約があります。

従って事件・事故を未然に防止し、また、実際に発生した場合でもその被害を最小限にとどめるために、日頃から最低限の次の諸点に心掛ける必要があります。

  • 自分と家族の安全は自分で守る
    大連市の治安が如何に他の都市と比較して良好であるとしても、ここが日本とは事情が異なる外国であることを認識し、自分と家族の安全は自分達自身で守るという強い心構えが極めて大切です。

  • 予防が最良の危機管理
     事件・事故・災害などに巻き込まれてからでは手遅れです。予防こそが最高かつ最重要の危機管理であることを心に銘じ、予防のためにできること、必要な努力(及び経費)は惜しまないことが必要でしょう。避けられる危険もある筈です。

  • 悲観的に準備する
     常に最悪の事態を想定し、物心両面から準備を万全にしておく必要があります(備えあれば、憂いなし)。

  • 安全の為の三原則
     海外における安全の為の基本原則とは「目立たない」「行動を予知されない」「用心を怠らない」の3つといわれています。
     日本での行動形態、生活様式をそのまま持ち込んでは、本人の意に反して自らを危険に晒すことになる場合もあります。

    (1) 目立たない:
    必要以上に華美な服装・装飾品をつける、現地ではあまり見かけないような目立つ車に乗る、公共の場などで大きな声で現地の
    批判を行う等は、差し控えることが適当でしょう。

    (2) 行動を予知されない:
    行動のパターン化(通勤、通学、買物、娯楽、外食の際の移動のルートや時間などの固定化)を避けるよう心掛ける。

    (3) 用心を怠らない:
    現地の治安状況は予期せぬことが原因で大きく変化することもありますので、家族全員、会社全体で気持ちを引き締める機会を
    持つことが必要です。

  • 住居での安全確保
    住居は生活の基盤であり、その安全を確保することは安全対策の中でも最優先事項です。大連では、住宅事情の変化も著しく、選択肢が増えていますが、住宅選定にあたり住まいの管理体制、警備状況、付近の環境をよくチェックすることが重要です。

    ※ 旅行者の方はまず、安全なホテルを選定することです。安全性の高いホテルは当然のことながら経費も嵩みます。安全を優先せず、安く済ませることが結果的に犯罪に巻き込まれる可能性が高くなり、却って高くつくことになる場合があります。

  • 現地社会に早く溶け込む
    外国においては、社会体制の相違による様々な制約、文化、習慣の相違などを常に念頭に置き、いかなる場合も「ここは日本ではない!」との認識の下での冷静な対応が望まれます。
    特に、安全の為の情報収集は、海外生活では欠かすことのできないトラブル防止策です。日頃から、新聞、テレビのニュースには注意を払うとともに、治安情勢、対日感情などに関する様々な情報が得られるような人間関係の構築やネットワーク作りに心掛けることが必要です。今、大連ではどのような事が起き、どのような事に注意しなければならないのか、常に関心を寄せることが大切です。

  • 精神衛生と健康管理に留意
    生活環境や習慣の変化に対応し、長期間緊張を持続させることは容易ではありません。精神的にも肉体的にも定期的なチェックとリフレッシュが必要となります。精神と肉体の健康は、何より自己管理が重要です。体調に異変を感じたり、精神的に不安を覚えたりした場合には、早め早めに必要なチェックを受けてください。特に、単身者の方は御留意ください。

II.大連の犯罪発生状況

  • 治安状況一般
    大連の治安は比較的に良好と言われていますが、経済発展に伴い地域格差、個人格差が拡大する一方、拝金主義の風潮等が加わり、徐々に治安悪化をもたらしています。
    2007年11月に公表された大連市の治安基本状況によると、2006年の1年間における刑事事件全般の発生件数は約13,800件で、内訳としては、放火、爆破、殺人、強姦、拉致、誘拐等の重大事件が減少し、麻薬犯罪、金融詐欺・コンピュータを使用した経済犯罪、ビジネスに関わる事件及びスリ・置き引き等の窃盗事件が増加するなど、犯罪が質的に変化している状況にあります。
    ところで、大連市は中国の中でもとりわけ日本人に親しまれている都市の一つと言えます。近年、航空路線の増加等により、毎年多くの邦人が商用や観光で大連市を訪れており、その数は年間約41万人(2007年現在。外国人旅行者全体の49%。)に上りました。また、日系企業の大連進出が背景となり、邦人の長期滞在者は約4,123人(2007年10月現在)と上海市、北京市、蘇州市、広州市等に次ぐ規模となっており、平均すれば常時7,000~8,000人の日本人が滞在することになります。このため、置き引きやスリによる被害(旅券や貴重品の盗難)、あるいはビジネスにまつわる各種のトラブル(軟禁、暴行他)に巻き込まれる事例も少なくありません。

  • トラブル及び犯罪事例
    この1年間において邦人が被害に遭ったトラブルや犯罪事例は下記のとおりですが、その多くはスリ、置き引きの窃盗よるものです。しかし、右以外にも経済トラブルによる軟禁・暴行、各種詐欺被害、タクシー運転手による金品持ち逃げ被害など犯罪被害は多様化する傾向にあります。
    他方、邦人がトラブルの主因が邦人であるケースも少なくありません。例えば、詐欺まがいのビジネスを行ったり、不正な男女関係、ビザ(査証)・居留証の期限切れ、違法DVD(海賊版DVD)の持ち出し、無許可での未開放地域立入り等に対し行政処分を受けるといった事例が挙げられます。
    更に、近年は麻薬の密輸容疑で複数の邦人が逮捕される事例が多発しており、第二審(中国の裁判は二審制)で執行猶予なしの死刑という大変厳しい判決が下されるケースが相次いでいます。麻薬犯罪に関しては、中国は日本に比べ刑罰が大変重いので、直接的にも間接的にも犯罪に荷担することのないよう気をつけてください。

    《届け・報告のあった事例》

    ※ホテル・レストラン、飲食店、デパート、地下街等での置き引き・スリ被害
     主な被害:旅券、現金・貴金属類・カメラ等。

    ※タクシー運転手による違法料金請求被害

    ※土地の立ち退き強要に伴う脅迫被害

    ※雇用契約トラブルによる脅迫被害

    ※暴漢による傷害被害
     (夜間、人気のない通りを一人で歩くこと等は危険ですので、避けてください。)

    ※その他、税関トラブル、マッサージ関係被害等様々な被害があげられます。


III.防犯のための具体的注意事項


住まい及び職場の管理体制、警備体制がどのようになっているか理解し点検したことがあるか。また、警報装置、防火装置、非常階段等が備わっているか、それら装置の使い方を知っているか、等常に防犯意識を高めることが基本です。

  1. 住居・ホテル
    (1) 外出時はもちろんのこと、在宅の時も必ず施錠する。

    (2) 来訪者が誰であるか、目的は何かを確認するまでドアを開けない。

    (3) 夜間の外出時には、明かりの一部をつけたままにすることも効果的。

    (4) 使用人は信頼できる人を雇う。また、使用人を雇い替える時は、カギの交換、増設を考える。

    (5) 家の戸締まりは使用人任せにせず、必ず自分で確認する。

    (6) 住まいの修理、工事にはできるだけ立ち会う。

    (7) 現金、貴重品は家の中のカギのかかるところにしまう。

    (8) カギを紛失したらすぐに新しいものに取り替える。

  2. 屋外
    (1) 外出の際は家族や友人等に行き先を知らせ、1人での行動はなるべく避ける。常に「緊急用連絡カード」の携行を忘れずに。

    (2) 中国では、風俗事犯に対する取締りは特に厳しく、不正な男女関係は犯罪であり法律による処分の対象となります。

    (3) 大金を持ち歩かない。また、多額の現金を持っていると見られることは、自ら危険を招くようなもの。

    (4) かばん・バック類は抱えて持つなど、所持品はしっかり身につける。また、飲食店においては、所持品は常に目の届くところに置く、貴重品は必ず身につけるなどの注意が必要。

    (5) 目を引く服装をしたり、高価なアクセサリーをつけての外出は控える。
     (特に、外を歩いたり、バス・電車に乗車するときなど。)

    (6) 見知らぬ人から親しげに声をかけられても相手にしない。(両替や麻薬、ワイセツ物品、骨董品らしきものの購入をすすめられることもあり得る。)

    (7) 運転手以外の人間が同乗しているタクシーに乗らない。また、タクシーに乗っていて、他の客を乗せようとしている運転手がいたら、断わるか、下車する。

    (8) タクシーの中では、所持品を手元から放さない。

    (9) 男女を問わず、深夜の外出は控える。また、夜間外出するときは、車両等を利用して移動する。

    (10) 車輌盗難防止のため、走行中は勿論のこと、駐車中でもドアをロックし、窓を閉めておく。運転手がいるのであれば、車内で待機させるか、常に目の届くところにいてもらう。また、車内に物を置いたままにしない。

  3. 立ち入り禁止区域について
    中国では、未だに外国人の立入りが禁じられている区域があります。立入り禁止区域であることを知らずに入ってしまった場合でも、関係当局によって罰金等の処分を受けることになりますので、中国国内を旅行する際には、事前のチェックが必要です。
    大連市旅順口区は、1996年7月、その一部地域(203高地、水師営等)が対外開放されました。しかし、観光地として知られる中心地域(軍港に近い地区や市街地等)は、今でも外国人には開放されていませんので注意が必要です。なお、旅順口区内で外国人が宿泊しえるのは、「新紀元大酒店」のみです。

IV.交通事情と事故対策


大連は経済発展に伴い自動車が急増している反面、道路の整備不良、信号機の未設置等ハード面の問題に加え、交通安全教育といったソフト面での対応にも遅れが目立ち、市内では交通事故を見かけない日はないと言っても過言ではないほど、大小様々な事故が発生しています。

自分で車を運転する場合は、とにかくスピードを出し過ぎないことが肝要です。
自転車や歩行者の不意の飛び出しや直前横断は日常茶飯事ですし、車輌の急停止、急な進路変更も当たり前といった感じがありますので、運転には細心の注意が求められます。

また、タクシーなど他者が運転する車に乗る際も、助手席には座らないようにし、運転手がスピードを出し過ぎたり、荒っぽい運転をしていると感じた場合は、安全運転を求めてください。

なお、歩行者の立場で心掛けたいこととして、車道を歩かない、横断歩道や歩道橋を利用して横断する、など基本的な点に加え、車輌の流れをよく見極めることも必要かと思われます。これは運転中にも共通することですが、「譲り合いの精神」があまり期待出来ない当地にあっては、「大丈夫だろう」という過信が事故に巻き込まれる最大の要因となり得るからです。

V.テロ・誘拐対策

  • テロ対策
    2001年9月の米国NY、翌年10月のインドネシア・バリ島、2004年11月スペイン・マドリード、05年7月の英国ロンドン等、近年の国際テロ事件の発生は誰もが予想できませんでした。思わぬ事態は人々の意志とは関係なく起きます。海外に住む者にとって安全の確保は最重要なことであり、「備えあれば憂い無し」とよく言います。その時に備えて普段から必要な準備をしておき、思わぬ事態にも対応できるようしておくことが重要です。これが「危機管理の基本」と言えます。
    平素から最悪を想定して情報の入手から避難に至るまで自分を守るための心構えが大事であり、次の準備等を実行しましょう。
    (1) 在留届、帰国届の提出(所在、連絡先及び安否確認の重要な手がかりとなる)

    (2) 食料品の備蓄(家族が10日間程度生活出来る食糧、飲料水、燃料他)

    (3) 医薬品、衣類他の携行品の準備

    (4) 携帯電話、乾電池式短波ラジオの所持

    (5) 旅券の保管(コピーがあると便利)、居留証・学生証の携帯

    (6) 現金(家族が10日間程度生活出来る額を別途に準備)、クレジットカードの所持

    (7) 情報入手手段の確認(事件が発生した場合にどのように情報を入手するか事前に確認しておく)

  • 誘拐対策
    誘拐被害の背景に何らかのトラブルが原因となるケースが多いと言われています。また、華美な生活等で狙われたり、単なる恨みや諍いから誘拐され重大事件(殺人)となった事例もあります。
    トラブルは完全に解決し誘拐等の余地を排除しておくことが大事であるとともに、前述I.4の「目立たない」、「行動を予知されない」、「用心を怠らない」という安全の為の三原則を守る習慣を身に付ける必要があります。
    万一、事件発生の場合には、次により対処することになりますが、最も重要なことは、如何に犯人に対処するかということであり、事実関係を「伝える側」と「伝えられる側」の連絡網の整備を確立して、同じ情報を正しく共有することです。
    (1) 真に誘拐であるか、また、該当者の所在確認が重要

    (2) 事実関係の詳細な把握(誤報の可能性があるということを忘れずに、注意して確認することが大切)

    (3) 誘拐、拉致された場所、時間

    (4) 犯人はどのような者であるか(単独・複数か等)

    (5) 犯人の要求は何か(可能であれば録音)
    以上、事件の内容を整理して、本社、家族に対する連絡と同時タイミングで領事館へも通報し、緊密な連携の下に対応を行うとともに、事件の性格を考慮して情報は外部に漏れないよう慎重に処理してください。
    なお、当事務所を含む我が国領事館としては、第一義的責任と権限を有する中国側の主権を尊重しつつ、邦人保護の立場より人質の安全救出のため最大限の努力を行います。

VI.緊急連絡先

不幸にして事件・事故に巻き込まれた場合は、直ちに最寄りの公安局(派出所等)に通報するとともに、会社関係者や当事務所(土・日曜日、祝日及び時間外でも可能。)にも連絡して対応振り等について相談してください。
 旅券を盗難・紛失した場合においては、公安局に届け出、証明書の発行を受けた後、当事務所での所要の手続き(再発給、渡航書の発給)が必要となります。また、旅券・居留証といった身分関係書類などは、万一に備え予め写しをとっておくと便利です。

《緊急連絡先》

(1) 在瀋陽日本国総領事館在大連出張駐在官事務所
 電話:8370-4077(代表)(24時間可)
     8370-4060(邦人保護)
 住所:大連市西崗区中山路147号 森茂大厦3F

(2) 大連市中心医院日本人医療相談室
 携帯電話:138-0408-3883(24時間可)
 電話:8441-3012
 住所:大連市沙河口区春柳学工街42号 中心医院外来5F
 診療時間:8:30-11:00、13:00-16:00(*)
      (土曜、日曜、祝日休診)
 *但し、月曜、水曜、金曜の14:00-18:00は開発区アカシア別墅にて診療。
  電話:8764-0741

(3) 「110」(公安局通報センター)
 24時間体制で通報を受付、各区域で巡回中のパトカーへ指揮するシステムになっている。

(4) 救急 120(有料)

(5) 消防 119

(6) 交通事故 122

(7) 大連市公安局出入境管理処
 電話:8280-2245(24時間可)
     8379-2171(治安、被害届)
     8280-2722(査証)
 住所:大連市中山区延安路16号

(8) 大連日本商工会事務局
 電話:8360-9418
 住所:大連市西崗区中山路147号 森茂大厦19F

(9) 法律相談室:日本法円坂律師事務所大連代表処
 電話:8263-0211
 住所:大連市中山区中山広場4号 大連賓館311号

(10) 緊急時の簡単な中国語連絡用語
・日本語 ・中国語
 助けて  ジューミン(救命)
 泥棒を捕まえて  ジュアシャオトウ(捉小盗)
 財布をなくしました  チエンパオデューラ(銭包画像了)
 財布を取られました  チエンパオペイトウゾウラ(銭包被盗走了)
 公安局に届けたいのですが  ウオヤオチーコンアンジュー(我要去公安局報告)
 警察を呼んでください  チンジアオジンチアー(請叫警察)
 病院に連れて行ってください  チンダイウオチーイーユエン(請帯我去医院)
 救急車を呼んでください  クアイジアオジューフーチョー(快叫救護車)
 怪我人がいます  ヨウショウシャンダ(有人受傷)
 火事だ、逃げろ  ファーションフオザイラ クアイパオ
 (発生火災、快画像

※カタカナの発音標記はあくまで参考である。
 中国語には日本語にない発音があり経験のない人が正しく発音することは不可能であり、筆談の方が早く意思を
 伝達できる場合が多い。

「外務省 海外安全ホームページ」

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